

「新築住宅は年々価値が下がるもの」・・・これまで日本では、住宅は時間とともに資産価値が低下する「消費財」として捉えられてきました。
実際に、一般的な住宅の場合、建築後20年を超えると建物の価値がほぼゼロになるとも言われています。
しかし近年、適切な性能と維持管理によって、長期にわたって価値を保ち続ける家づくりが注目を集めています。
そこで今回は、資産価値の高い家づくりについて、具体的な方法とポイントをご紹介します。

目次
なぜ今、資産価値の高い家づくりが重要なのか
住宅を「消費財」ではなく「投資財」として考える時代が来ています。その背景には、以下のような社会的な変化があります。
①少子高齢化による中古住宅市場の活性化
将来的な人口減少に伴い、新築住宅の需要は減少する一方で、良質な中古住宅への需要は高まっています。特に、性能が良く、適切に維持管理された中古住宅は、若い世代を中心に人気が高まっており、良質な住宅の資産価値は今後も維持されると予測されています。
実際に、高性能な中古住宅は、築20年を超えても新築時の70〜80%程度の価値を保持している事例も出てきています。
②環境への配慮の重要性
脱炭素社会に向けて、省エネ性能の高い住宅の価値が今後さらに上昇すると予測されています。
2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)などの環境性能の高い住宅への注目度は年々高まっており、将来的な規制強化も見据えると、環境性能の高さは資産価値を大きく左右する要素となっています。
実際、ZEH住宅は一般住宅と比べて、売却時の価格下落率が15〜20%も低いというデータも出てきています。
③働き方改革による住まいの重要性の高まり
テレワークの普及により、住まいの性能や快適性への要求も高まっています。
在宅勤務に適した執務スペースの確保や、オンライン会議に支障のない防音性能、快適な室内環境を実現する空調設備など、住まいに求められる機能は多様化しています。
これらの要素を備えた住宅は、将来的な価値の維持が期待できます。特に、浜松市では製造業を中心に多くの企業がテレワークを導入しており、住まいの機能性への注目度は高まる一方です。

長期優良住宅認定で住宅の価値がアップ
資産価値を高める第一歩として、長期優良住宅認定の取得があります。
長期優良住宅とは、長期にわたり良好な状態で使用するための措置が講じられた優良な住宅のことです。この認定を受けることで、住宅の基本的な品質が担保され、将来的な資産価値の維持につながります。
<長期優良住宅の主な認定基準>
劣化対策
構造躯体の劣化対策として、床下・小屋裏の防湿・防蟻対策、外壁の通気層設置などが必要です。これらの対策により、建物の寿命が大幅に延びることが期待できます。具体的には、一般的な住宅の耐用年数が30年程度とされているのに対し、長期優良住宅では100年以上の耐用年数を想定しています。
・耐震性
一般的な耐震基準の1.25倍の強度(耐震等級3)が求められます。これは、震度6強〜7程度の地震に対しても、倒壊や大きな変形が生じにくい構造であることを意味します。浜松市は東海地震の想定震源域に位置しているため、高い耐震性能は特に重要です。
・維持管理・更新の容易性
配管の点検・修繕が容易にできる構造であることが必要です。例えば、給排水管を点検できる床下収納の設置や、配管スペースの確保などが求められます。これにより、将来的な修繕・更新工事がスムーズに行え、維持管理コストの抑制にもつながります。
・省エネルギー性
断熱性能や気密性能が通常の住宅より高い基準が設定されています。具体的には、断熱等級5以上、一次エネルギー消費量等級6以上などの基準を満たす必要があります。これにより、光熱費の削減だけでなく、室内環境の快適性も向上します。
<長期優良住宅の認定を取るメリット>
長期優良住宅に認定されることで、以下のようなメリットが得られます:
・税制優遇
固定資産税が最大で7年間、標準税率から1/2に軽減されます。また、住宅ローン減税も一般住宅より優遇されており、最大500万円の控除を受けることができます。
・維持管理のしやすさ
建築時から維持管理計画が立てられているため、計画的な修繕・更新が可能です。これにより、突発的な修繕費用の発生を抑制できます。
・将来の売却時の優位性
認定住宅であることが、資産価値を維持する大きな要素となります。実際のデータでは、一般住宅と比べて20〜30%程度、資産価値の低下が抑えられているという結果も出ています。

資産価値を高める性能とは
長期優良住宅の認定基準を超えて、さらに高い性能を実現することで、資産価値はさらに高まります。
<断熱性能>
断熱性能は、住宅の快適性と省エネ性を左右する重要な要素です。
・UA値0.4以下を目指す
UA値(外皮平均熱貫流率)0.4以下を実現することで、夏は涼しく冬は暖かい快適な住まいとなります。これは、北海道の断熱基準に匹敵する高い性能であり、年間の冷暖房費を一般住宅の半分程度に抑えることが可能です。
・高性能な窓の採用
トリプルガラスや真空ガラスなど、最新の窓技術を採用することで、断熱性能が大幅に向上します。特に開口部からの熱の出入りは大きいため、窓の性能向上は体感温度の改善に直結します。また、結露の防止にも効果的で、建物の耐久性向上にも貢献します。
<気密性能>
気密性能は、断熱性能と合わせて重要な要素です。
・C値0.5以下を目標に
気密測定で用いられるC値(相当隙間面積)は、0.5以下を目標とすることで、高い省エネ性能が実現できます。気密性能が高いことで、外部からの粉塵やアレルゲンの侵入も防ぎ、室内の空気環境も改善されます。また、24時間換気システムの効率も上がり、結果として省エネにもつながります。
<耐震性能>
地震大国日本では、耐震性能は特に重要です。
・耐震等級3の確保
最高等級である耐震等級3を確保することで、
大地震に対する安全性が高まります。
これは、建築基準法で定められた耐震基準の1.5倍の強度を持つことを意味し、
大地震時でも建物の損傷を最小限に抑えることができます。
浜松市は地震対策が特に重要な地域であり、
高い耐震性能は資産価値の維持に直結します。


メンテナンス計画の重要性
高い性能を持つ住宅も、適切なメンテナンスがなければ価値は低下していきます。
計画的なメンテナンスは、住宅の長寿命化と資産価値の維持に不可欠です。
<定期的な点検と補修>
以下のような計画的なメンテナンスが重要です:
・外装の点検(年1回)
屋根、外壁、バルコニーなどの点検を行います。特に雨漏りの原因となりやすい部分は入念にチェックします。早期発見・早期対応により、大規模修繕を防ぐことができます。
・設備の点検(半年〜1年に1回)
給排水設備、電気設備、空調設備などの点検を実施します。特に配管類は目視できない部分が多いため、専門業者による定期点検が推奨されます。
・補修・交換計画の作成
部材の耐用年数を考慮した長期的な補修・交換計画を立てます。例えば、外壁塗装は10〜15年、屋根材は20〜30年といった具合に、各部位の更新時期を把握し、計画的に修繕を行うことで、突発的な支出を抑えることができます。
実際のメンテナンス費用は、築年数や住宅の仕様にもよりますが、一般的に年間で建築費の1〜2%程度を見込んでおく必要があります。これは決して小さな額ではありませんが、計画的なメンテナンスにより、建物の長寿命化と資産価値の維持が可能となります。

資産価値を高める間取りと設備
将来の暮らしの変化に対応できる間取りと、高性能な設備の選択も重要です。
<可変性のある間取り>
可動間仕切りの採用
ライフステージの変化に合わせて間取りを変更できる設計を取り入れます。例えば、子供部屋を将来的に統合・分割できるような可動壁の採用や、リビングとダイニングの仕切りを可変式にするなど、柔軟な空間設計が可能です。
十分な収納スペース
余裕のある収納計画により、居住空間の快適性を確保します。特に、玄関周りの収納や、リビング近くの大型収納など、使い勝手を考慮した収納計画が重要です。収納力は中古住宅としての価値を大きく左右する要素の一つとなっています。
<省エネ設備の導入>
太陽光発電システム
適切な容量設計により、電気代の削減と売電収入が期待できます。特に浜松市は日照時間が長く、太陽光発電の導入に適した地域です。蓄電池と組み合わせることで、災害時の電力確保にも有効です。
蓄電池システム
災害時の備えとしても有効な蓄電池の導入を検討します。特に近年は台風や地震による停電リスクが高まっており、蓄電池の価値は上昇傾向にあります。
高効率給湯器
エコキュートやハイブリッド給湯器など、省エネ性の高い給湯設備を選択します。これらの設備は、ランニングコストの削減だけでなく、環境性能の向上にも貢献します。

将来を見据えた土地選び
住宅の資産価値は、立地によっても大きく左右されます。浜松市の特性を考慮した土地選びのポイントをご紹介します。
・交通利便性
駅やバス停からの距離、主要道路へのアクセスを確認します。特に浜松市の場合、JR浜松駅周辺や遠鉄線沿線は将来的な価値の維持が期待できます。また、新東名高速道路へのアクセスの良さも、企業立地の進む浜松市では重要な要素となっています。
・生活利便施設へのアクセス
スーパーや病院、学校などの生活必需品への捉え方を考慮します。徒歩15分圏内にスーパーマーケットや医療機関があることは、子育て世代からシニア世代までかなり重要な条件です。
・災害リスク
ハザードマップで水害や土砂災害のリスクを確認します。 浜松市の場合、天竜川流域や沿岸部の一部地域では浸水リスクがあるため、土地選びの際は特に注意が必要です。岸の台地部など、地盤の良い地域は災害リスクが低く、資産価値も安定しやすい傾向にあります。また、南海トラフ地震の想定地域であることを考慮し、津波浸水予測地域についても慎重に確認する必要があります。
・動態人口の予測
地域の人口予測を確認し、将来の見通しを立てます。浜松市全体では人口減少が予測されていますが、適応性の高い地域では人口の維持が見込まれています。また、既存の住宅地でも、世代交代がありつつも、新しい住民の流入が見られます。
まとめ
今回挙げた要素に配慮した家づくりを行うことで、長期にわたって価値の高い住宅を実現することができます。
幹工務店では、30年以上かけて浜松市で培った経験と実績をご相談、お客様に安心のライフスタイルに合わせて、資産価値の高い家づくりをご提案しています。
地域にあった工務店だからこそ可能な、きめ細やかな対応と確かな技術で、お客様の大切な資産づくりをサポートいたします。
家づくりのご相談は、お気軽に幹工務店までお問い合わせください。