幹工務店は店舗の設計施工も得意とし、これまで美容サロンや飲食店、ペットホテルなど、様々な店舗を手掛けてきました。
そこで今回は、美容サロンの事例を3つご紹介します。
磐田市新島 美容室「CHiARO(キアーロ)」
磐田市で美容室「CHiARO(キアーロ)」を営むT様とは、数年前に店舗のリニューアルを承った時からのお付き合い。
その後、お客様の増加とスタッフの増員に伴い、作業効率を向上させるための店舗面積の増床と、マイクロバブル装置のための小屋の設置を目的に、当社に全面リニューアルをご依頼くださいました。
店名の「キアーロ」はイタリア語で、「明るい」を意味する言葉。店名通り、明るく快適で、スムーズに動ける空間を希望しました。
もともと店舗の面積は広かったのですが、仕切り壁が多く、全体に目が行き届かなかったため、カットスペースを増築して、できる限り壁をなくし、広々とした空間を実現。お客様やスタッフの動きもスムーズになりました。
床は明るい木質調に、飾り梁や家具などはダークブラウンに統一して、落ち着いた雰囲気を演出。
個室の壁を取り払うことで、オープンで明るいフロアに生まれ変わり、受付や入り口に設けた薬剤の調合コーナーからも全体が見渡せます。
増床したカットスペースは、広々としていて、お客様も移動がスムーズに。
間接照明、フェイスライト、ダウンライトなど、照明のこだわりはヘアサロンならではの特徴です。
半個室の利用コーナーは、以前は個室でしたが、壁を取り払ったことで明るさと開放感が増し、動線もスムーズになりました。
受付カウンターは書類棚やクローク、商品棚などの家具類は、すべて建具屋さんが製作したオーダーメイド品。
打ち合わせを何度も重ね、スタイリッシュで使い勝手のいい家具が完成しました。
今回のリニューアルのご感想をオーナー様に伺うと、「当店は店舗の中でも特殊な店ですが、じっくり話を聞いてくださり、想像以上のものを提案してくれました」と、大変喜んでいただけました。
浜松市東区笠井町 美容サロン「TORI DORI(とりどり)」
次にご紹介するのは、美容サロン「TORIDORI」さん。
ご家族は、以前は両親と同居されていましたが、奥様はずっと前から美容サロンを開業するのが夢で、貯金をして土地を買い、店舗併用住宅を建てようと計画されていたそうです。
外観は、淡いグレーを基調にデザイン。縦長の敷地を活かして道路沿いに店舗の入り口を設け、側面にピロティ付きの住宅用玄関を設けました。
「ピロティは担当の仲尾さんの提案ですが、車を玄関先まで入れられて、雨にも濡れずにすむので大正解でした」と夫妻。
一方、美容サロンのエントランスは、道路側に確保。
外壁を塗り壁にして軒は板張りに。木扉を付け、素敵な佇まいが実現しました。
地域の人々に何のお店かわかってもらえるように、壁にスチール製のハサミのオブジェを飾ったのは奥様のアイデアです。
店舗を一階に設けたため、自宅は2階にLDKを設置。明るく開放的で冬も暖かく、「思った以上に快適です」とご主人。アカシアの無垢の床も足触りが心地よく、思わず長居したくなる空間です。
店舗内は壁と天井をグレーで統一し、木の家具が映える空間に。
壁と天井は淡いグレーの塗装でフラットに仕上げてあります。ムラの無い美しい仕上がりは、職人の技術力の高さの証です。
家具や鏡、建具はすべて家具店のオーダーメイド。無機質なグレーの空間に木の家具やアンティーク照明が温かみを添え、グリーンやドライフラワーの彩りが映えて、リラクゼーションをもたらしてくれます。
カウンターの奥には、自宅へ通じる出入口があります。「自宅と職場が一緒でも、部屋の雰囲気やフレグランスの違いでオン・オフがしっかりできています」と奥さま。自宅で家事や子育てをしながら、美容サロンを経営する奥様を、ご主人がしっかりサポートしてくれているそうです。
浜松市中区神田町 Revie hair relax
そして3件目は、浜松市中区神田町にある「Revie hair relax」さん。
こちらのお宅は、8年前に当社でマイホームの新築を承ったお宅の奥様が開いた店舗です。白いガルバリウム鋼板の鎧張り風の外壁で仕上げ、軒天井には無垢材を採用。さすが美容院なだけあって、おしゃれで都会的な雰囲気です。
新築当時は店舗を開設するお話はまだ出ていなかったのですが、暮らし始めてから奥様の要望が強まり、具体的に計画することになりました。
結局、新築時に儲けた外構を壊して、敷地内に店舗をつくることになったのですが、ここで問題となったのが、母屋と店舗をどのように連結するかということです。そこで、雨漏りしないように母屋と店舗を廊下で繋ぎ、外に出なくても直接行き来できるようにしました。
店内では、奥様が一人で店をやりくりするため、お客様も奥様もリラックスできる雰囲気作りを心だけました。席は2席で、その裏にシャンプー台を確保。また、着付けも行っているため、キッズスペースと兼用の着付けコーナーを2畳分設けました。それ以外に、手洗い場や待合など、美容院の運営に必要な設備や空間を漏れなく設けられるよう、注意を払いました。
美容院のカウンターには杉材を用い、温かみのある雰囲気を演出。カウンターや棚などはご主人のセルフメイドで、手作り感のあるモダンな雰囲気に仕上がりました。
まとめ
店舗は、誘客のための個性とデザイン性がキーポイントです。そのため、オーナーさまとじっくり話し合いを重ねて、ご要望を正確に汲み取り、細部にわたるまで素材や仕上がりにこだわりました。また、作業動線やお客様がリラックスできるための設計工夫も重要なので、その点も十分に留意しました。
こうした店舗を設計・施工することは一般の家づくりにおけるデザイン性の向上や、新たなアイデアのご提案にも非常に役立っています。
いつか自分の店を持ちたいとお考えの方、あるいは現在の店舗をリニューアルしたいとお考えの方、どうぞお気軽にご相談ください。
文:トータルアドバイザー 仲尾 久造(二級建築士)