2024年1月1日に発生した能登半島地震では、震度7という強い揺れを記録し、家屋倒壊や火災など甚大な被害を引き起こしました。現地で被害に遭われた方々に、心よりお見舞い申し上げます。
日本は地震大国であり、いつどこで地震が発生してもおかしくありません。
特に、東海地震と南海地震が連動して発生する巨大地震では、マグニチュード9クラスの地震が想定されており、浜松地区でも震度7クラスの強い揺れが予想されます。
大地震が来ても倒壊しない家を建てるには、どうしたらいいのでしょうか。
能登半島の家屋調査でわかったこと
被災地の現地調査によると、建物が崩れて道を塞いでいるような状況が多い一方、そのすぐ横に何の被害もない状態で立っている建物も多いそうです。その差が生じた理由は、耐震性能の違いによることは明らかでしょう。
甚大な被害を受けた木造建築物のほとんどは、1階に大きな開口部がある店舗のような建物や、築年数がかさんで重い瓦の乗った建物でした。
一方、比較的築年数が浅く、現在の耐震基準による建物の多くはほとんど被害を受けておらず、建物の耐震対策を強化することの重要性が、改めて浮き彫りになりました。
では、どうすれば地震に強い家を建てられるのでしょうか。そのためのポイントをご紹介します。
地震に強い耐震等級3の家づくり
地震に強い家を建てるなら、耐震等級3が必須です。
耐震等級とは、地震に対する建物の強さを表す指標です。
等級の数字が大きいほど、地震に強い建物となり、最高ランクの等級は3です。
【耐震等級の種類】
耐震等級1:建築基準法で定められている最低限の耐震性能
耐震等級2:耐震等級1の1.25倍の耐震性能
耐震等級3:耐震等級1の1.5倍の耐震性能
上記の等級のうち、最高等級の「3」は、耐震等級2よりも壁の強度を上げて、壁の量を増やし、床の剛性も高めた構造となります。さらに、地震の力を分散できるように、構造躯体の接合部に使う金物を適切に配置する必要もあります。
【耐震等級に関わるポイント】
耐震等級を上げるためには、次のポイントに基づいて建物を設計します。
- 建物の重さ
建物の重さは、耐震性能に大きな影響を与えます。例えば耐力壁の強度が同じ2棟の建物があって、一方は瓦屋根、もう一方はガルバリウム鋼板の屋根だったとすると、重たい瓦屋根の家の方が耐力壁に負荷が大きくかかり、耐震性が下がります。耐震性を高めるには、屋根や外壁に重量の軽い素材を選び、建物の軽量化を図る必要があります。
- 耐力壁の量
「耐力壁」は、地震や台風などによる横からの圧力に抵抗するために設けます。耐力壁が多ければ多いほど耐震性が高くなり、耐震等級が上がります。2階建ての場合には、2階の重さが1階にのしかかってくるため、1階に耐力壁が多いほうが耐震性が高くなります。そのため、耐震性だけで考えると、広々としたオープン空間のLDKを2階に配置し、壁量が増える個室を1階に配置したほうが有効です。
- 耐力壁の配置バランス
耐力壁は、単に数を増やせばいいだけでなく、配置バランスを考慮することも大切です。どんなに耐力壁を増やしても、それが建物の片側だけに集中していれば、一方だけ強く、重たくなってしまいます。そうすると地震の発生時に弱い側に負荷がかかり、倒壊や崩落の危険性が高まります。
- 床の剛性
耐震性を高めるには、柱や壁の強度だけでなく、床の剛性(硬さ)を高める必要があります。どんなに壁の強度を高めても、それを支える床の剛性が低いと、建物がたやすくねじれ、壁が崩落します。そのため、床にも構造用合板を用いるなどして強度を高める必要があります。
繰り返しの揺れに強い制震装置
2016年に発生した熊本地震は、震度7の揺れが2度も発生するという前代未聞の事態に見舞われ、多くの建物が倒壊しました。その結果、繰り返しの揺れに強い制震性能が求められ、制震装置のニーズも高まってきました。
制震装置とは
「制震」とは建物内で地震の揺れを吸収する構造のことで、「制震装置」とは、建物の揺れを減衰させる装置を示します。
ダンパーやおもりなどで構成された制震装置を建物の内部に設置すると、地震の揺れを小さくすることができます。
制震は「免震」とは異なり、地盤の揺れが建物に直接伝わってきます。しかし、ダンパーなどの制震装置がその揺れを熱エネルギーに変えて、空気中に放出してくれるのです。その結果、揺れが小さくなり、建物が倒壊しにくくなります。
ダンパーには、油圧を利用した「オイルダンパー」や、ゴムやアクリル樹脂などの粘弾性素材を利用した「ゴムダンパー」、金属が変形する性質を利用した「金属ダンパー」など、いろいろな種類があります。
制震装置が有効な理由
耐震性能を十分に備えていても、大地震で倒壊したり損傷したりしてしまった住宅がこれまでに数多く見受けられました。
倒壊しないはずの耐震住宅は、なぜ倒壊してしまったのでしょうか。
それは、日々発生する小さな揺れによって、住宅の構造は少しずつダメージを受けて変形し、耐震性能は徐々に劣化していくからです。ましてや大型地震が生じて、複数回の余震が発生すれば、耐震性能は大幅に低下していきます。
住宅の耐震性能を維持するには、「制震ダンパー」が有効です。制震ダンパーが揺れのエネルギーを吸収することで、耐震構造への影響を防ぎ、住宅を守ることができます。
幹工務店では、制震ダンパーとして、地震の揺れを飛躍的に減衰させることができる制振ダンパー「evoltz(エヴォルツ)」の採用を推奨しています。
まとめ
築年数の浅い建物でも、大地震に強いとは限りません。また、耐震等級3の家でも、その計算方法によって実際の耐震性に差が生じます。
本当の意味で地震に強い家を建てたいのなら、耐震等級3と制振ダンパーをセットで採用するのが有効です。
幹工務店では、耐震等級3の家づくりを標準仕様とし、制振ダンパーの導入事例も数多くあります。地震に強い木造住宅をお考えなら、当社にぜひご相談ください。
モデルハウスの見学もできますので、お気軽にどうぞ。